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  • 2026/03/26公開
  • 2026/03/27更新

【第2回】サントリーの海外展開とブランド構築──M&Aとブランド投資で築いた“世界で戦える酒類ビジネス──

【第2回】サントリーの海外展開とブランド構築──M&Aとブランド投資で築いた“世界で戦える酒類ビジネス──

【第1回】企業概要と国内市場の強み

【第2回】海外展開とブランド構築

【第3回】商品開発とR&Dによる価値創造

【第4回】持続可能な成長の設計

この記事を書いた人

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山本 和敏(やまもと かずとし)
マサチューセッツ州立大学MBA。USCPA(米国公認会計士)。情報系の大学を卒業後、システムエンジニアとしてキャリアをスタート。主にシステムインテグレーション関連のプロジェクトに従事する中で、製品やサービスに依存せず、顧客視点からの提案・支援を行いたいという思いが強くなり、コンサルティング業界への転職を決意。転職後は、IT関連のプロジェクトを中心に、業務改革や戦略策定など支援の範囲を広げ、様々な業界のクライアント様の課題解決に取り組んでいる。現在は、業界最大手のクライアント様の伴走支援を行い、上層部の方々が抱える難易度の高い課題に対し、これまで培ってきた知見やスキルを活かし、さまざまな視点から価値ある解決策を提供している。

目次
海外展開の背景と狙い
主要市場と事業戦略
ブランド戦略──グローバルでの共通価値とローカル適応
組織・人材面のグローバル化
成果と課題
MBAの学びとの接点


海外展開の背景と狙い

国内市場が成熟し、人口減少や消費者ニーズの多様化が進む中で、サントリーは成長の柱を海外市場に求める戦略に舵を切りました。特にアジアや北米、欧州など、経済成長率が高く、飲料・酒類消費が拡大傾向にある市場への進出が中心です。

成長市場での売上拡大
国内での成熟市場では成長余地が限られる一方、新興国市場では中間層の拡大とライフスタイルの多様化により、飲料・酒類の消費量が増加傾向にあります。サントリーはここに成長機会を見出しました。

グローバルブランド構築
国内で培ったブランド力や製品開発ノウハウを、海外でも活用。特に「プレミアム志向のウイスキー」や「機能性飲料」など、日本独自の製品を海外市場で浸透させる戦略を進めています。

経営リスク分散
国内市場依存を低減することで、経済や人口構造の変化によるリスクを分散。海外売上の拡大は、グループ全体の安定性向上にも寄与しています。

主要市場と事業戦略

サントリーの海外展開は地域別に明確な戦略を持っています。

アジア市場:アジア市場では、経済成長と中間層人口の増加に注目。特に中国、東南アジアでは飲料・酒類消費の拡大が顕著です。

中国市場:プレミアムウイスキーや清涼飲料水を展開。「プレミアム製品=高品質」のブランドイメージを訴求し、高所得層や都市部を中心に販売拡大。

東南アジア市場:タイ、ベトナム、インドネシアなどで現地企業との合弁やM&Aを通じて事業基盤を構築。現地ニーズに合わせた飲料製品やアルコール製品を開発。

北米・欧州市場:北米や欧州では、日本発のプレミアムウイスキーや健康志向飲料のブランド浸透に注力。

ブランド訴求の差別化
現地競合との差別化を図るため、「和の品質」や「自然原料」を強調。日本独自の価値観を前面に出すことで、単なる価格競争に巻き込まれない戦略を展開。

M&A戦略
キリンやサントリーは過去に海外ブランドの買収を通じて販売チャネルを獲得してきた歴史があります。サントリーも戦略的買収により、市場参入のスピードを高めています。

ブランド戦略──グローバルでの共通価値とローカル適応

サントリーはグローバル市場でブランドを浸透させるため、「普遍性」と「地域適応」の両立を図っています。

普遍性(Global Core)
「プレミアム品質」「自然由来の安心感」「健康・ウェルネス」など、世界共通で通用する価値をコアブランドとして強化。ウイスキーや天然水ブランドが中心です。

ローカル適応(Local Tailoring)
現地消費者の嗜好や文化に応じて、製品の味やパッケージを調整。例えば、中国では甘みを抑えた清涼飲料を提供、東南アジアでは暑さに適した清涼飲料やアルコール飲料を展開。

マーケティング戦略の差別化
現地の広告やSNSプロモーションを活用し、ローカル消費者の生活シーンに合わせたコミュニケーションを実施。これにより、グローバルブランドでありながら親近感を持たれる戦略を構築しています。


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組織・人材面のグローバル化

海外展開に伴い、サントリーはグローバル人材の登用と現地主導型経営を推進しています。

現地人材登用
北米やアジアの子会社では、現地出身のCEOや幹部を任命。文化や商習慣の理解を活かし、迅速かつ的確な意思決定を実現。

日本本社との連携
グローバル戦略の整合性を保つため、日本本社は統括機能を維持。ブランド価値や品質管理の標準化を図りつつ、各地域の裁量を尊重。

人材育成の工夫
海外赴任制度や研修プログラムを通じ、海外市場の知見を持つ人材を育成。国内外の人材交流により、グローバル経営力の底上げを実現しています。

成果と課題

海外展開戦略は一定の成果を上げています。

海外売上比率の増加
近年、海外事業の売上比率はグループ全体の約30〜35%に到達し、成長の柱として機能。

ブランド認知向上
プレミアムウイスキー「山崎」や「白州」は海外市場でも高い評価を獲得。和のブランド価値を世界に浸透させています。

一方で、課題も残ります。

為替変動リスクや国ごとの規制リスク
ローカル消費者ニーズへの迅速対応
国内事業とのバランスと投資効率の最適化

これらを克服し、国内外での成長を両立させることが今後の重要課題です。

MBAの学びとの接点

サントリーのグローバル戦略は、MBAで学ぶ概念と直接リンクします。

MBAの論点 サントリー事例の示唆
国際経営論 成熟国内市場を補完する成長市場戦略
マーケティング論 共通価値とローカル適応の両立によるブランド構築
組織論 現地主導型経営と本社統括のバランス設計
財務戦略 海外投資によるリスク分散と収益拡大の設計

海外市場戦略は、国内市場の成熟という制約条件を前提にした戦略的意思決定の好例として学ぶことができます。

次回予告

次回第3回では、サントリーの商品開発・イノベーション戦略に焦点を当てます。

プレミアム酒類や健康飲料の新商品開発プロセス
国内外でのR&D拠点活用
MBA的視点で学ぶイノベーション管理と事業成長の結びつき

次回も、サントリーの戦略を掘り下げ、個人のビジネスパーソンとしての学びを引き出していきます。

次の記事はこちら

【第3回】商品開発とR&Dによる価値創造


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