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  • 2026/03/26公開
  • 2026/03/27更新

【第4回】持続可能なサントリーの成長──環境・人・ブランドを同時に伸ばす、長期経営のリアル──

【第4回】持続可能なサントリーの成長──環境・人・ブランドを同時に伸ばす、長期経営のリアル──

【第1回】企業概要と国内市場の強み

【第2回】海外展開とブランド構築

【第3回】商品開発とR&Dによる価値創造

【第4回】持続可能な成長の設計

この記事を書いた人

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山本 和敏(やまもと かずとし)
マサチューセッツ州立大学MBA。USCPA(米国公認会計士)。情報系の大学を卒業後、システムエンジニアとしてキャリアをスタート。主にシステムインテグレーション関連のプロジェクトに従事する中で、製品やサービスに依存せず、顧客視点からの提案・支援を行いたいという思いが強くなり、コンサルティング業界への転職を決意。転職後は、IT関連のプロジェクトを中心に、業務改革や戦略策定など支援の範囲を広げ、様々な業界のクライアント様の課題解決に取り組んでいる。現在は、業界最大手のクライアント様の伴走支援を行い、上層部の方々が抱える難易度の高い課題に対し、これまで培ってきた知見やスキルを活かし、さまざまな視点から価値ある解決策を提供している。

目次
サントリーの全社戦略の基本構造
ESG・サステナビリティ戦略の位置づけ
水資源保全と環境イノベーション
グローバル戦略とサステナビリティの統合
組織文化とESG推進
成果と課題
MBAの学びとの接点


サントリーの全社戦略の基本構造

サントリーの全社戦略は、「国内外事業の統合的運営」と「ブランド価値の最大化」を軸に設計されています。飲料・酒類・健康食品など複数の事業領域を持つ中で、単なる事業ごとの収益追求ではなく、全社的な最適化を重視するのが特徴です。

国内外事業のバランス
国内市場の成熟化を受け、海外市場での成長が不可欠となっています。アジアや欧米における市場拡大は、売上だけでなくブランド認知やプレミアム価値の向上にも寄与。

ブランド戦略の一貫性
「自然・健康・おいしさ」を軸に、ウイスキー、ビール、ソフトドリンク、健康食品の各ブランドを統合的に展開。消費者がどのカテゴリーに触れても、サントリーらしい価値体験を提供する設計になっています。

クロス事業シナジーの活用
研究開発、物流、マーケティング、サステナビリティ施策を横断的に組み合わせ、全社としての競争力を最大化。

ESG・サステナビリティ戦略の位置づけ

サントリーは、ESG(環境・社会・ガバナンス)を単なる企業責任としてではなく、全社戦略の不可欠な柱として位置づけています。

環境(Environment)
水資源保全、CO2削減、再生可能エネルギー活用など、製造から物流まで環境負荷を低減する施策を展開。
例:天然水ブランドでは、森林保全活動や水源地の保護に積極的に投資。

社会(Social)
地域コミュニティ支援、従業員の健康・安全確保、多様な人材登用。
特に海外事業では現地雇用を創出し、地域経済への貢献を意識。

ガバナンス(Governance)
経営の透明性向上、リスク管理体制の整備、社内倫理規範の徹底。経営判断の迅速化と長期視点の両立を図る。

水資源保全と環境イノベーション

サントリーのESG施策の中心には、水資源の持続可能性があります。水は飲料事業の生命線であるため、全社戦略に直結する重要課題です。

水源地の保全活動:森林再生や水質保全プロジェクトを国内外で展開。特に天然水事業の地域では、地元自治体やNPOと連携した長期的保全施策を実施。

製造プロセスの効率化:工場の水使用量削減や廃水処理の改善により、環境負荷の低減とコスト効率化を両立。

製品・パッケージのサステナブル化:ペットボトルの軽量化やリサイクル材使用の拡大。2023年度には主要製品の約70%で再生プラスチックを採用。


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グローバル戦略とサステナビリティの統合

海外市場においても、サントリーはESGを成長戦略と連動させるアプローチを採用しています。

地域適応型の製品開発:各国の健康・環境規制や消費者嗜好を反映した商品を開発。例:アジアでの低糖・低カロリードリンクの展開。

現地コミュニティとの共生:生産地での水資源管理や雇用創出、教育支援など、社会貢献と事業成長を両立。

グローバルESG評価の向上:CDP(気候変動関連情報開示)やSustainalyticsなどの国際評価で高評価を獲得。海外投資家からの信頼性も向上。

組織文化とESG推進

サントリーは、ESG戦略の実行を組織文化にも組み込んでいます。

社員の意識改革:環境保全や地域貢献を事業評価の一環に組み込み、日常業務でもESG意識を浸透。

クロス部門の協働:R&D、マーケティング、製造、物流、CSR部門を横断的に連携させ、全社的な施策実行を推進。

リーダーシップの育成:持続可能な成長を牽引できる次世代リーダーの育成を重視。ESG施策を経営戦略と結びつける能力を評価指標に導入。

成果と課題

これまでの取り組みで、サントリーは以下の成果を達成しています。

国内外でのブランド評価向上と市場シェア拡大
ESG評価機関での高評価、海外投資家からの信頼獲得
社員のESG意識浸透と文化としての定着

一方で課題も残ります。

グローバル市場における地域差対応の難しさ
長期投資のコスト回収に時間がかかる
ESG施策の効果測定や可視化のさらなる強化が必要

MBAの学びとの接点

サントリーの全社戦略・ESG施策は、MBAで学ぶフレームワークと直結します。

MBAの論点 サントリー事例の示唆
戦略論 国内成熟市場と海外成長市場の統合的戦略
サステナビリティ戦略 ESGを全社戦略に組み込み、ブランド価値向上に連動
組織行動論 社員の意識改革とクロスファンクショナル協働の仕組み
リーダーシップ論 持続可能な成長を牽引する次世代リーダー育成

特に、短期利益だけでなく長期的なブランド価値と社会的価値を同時に追求する戦略設計は、MBA理論の実践的応用として学ぶ価値があります。

終わりに

今回でサントリーホールディングスの連載は完結となります。総括として、以下の学びを整理します。

商品開発・イノベーション・全社戦略・ESGを統合した経営設計
国内市場成熟・グローバル展開・社会的価値を両立させる成長戦略
MBAの学びを日常業務や戦略設計に活かす視点

サントリーの取り組みは、個人のビジネスパーソンとしても、組織マネジメントの参考としても、示唆に富む事例です。

次回は、また別の業界・企業の事例を取り上げていく予定です。あなた自身の現場と重ねながら、引き続き一緒に考えていきましょう。


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