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  • 2026/03/27公開
  • 2026/04/01更新

【第3回】日立製作所の組織・人材・ガバナンス改革──戦略を「実行可能」にした見えにくい変革──

【第3回】日立製作所の組織・人材・ガバナンス改革──戦略を「実行可能」にした見えにくい変革──

【【第1回】日立製作所の概要と国内事業変革

【第2回】日立製作所の事業ポートフォリオ転換とグローバル戦略

【第3回】日立製作所の組織・人材・ガバナンス改革

【第4回】日立製作所の変革から学ぶ経営の本質

この記事を書いた人

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山本 和敏(やまもと かずとし)
マサチューセッツ州立大学MBA。USCPA(米国公認会計士)。情報系の大学を卒業後、システムエンジニアとしてキャリアをスタート。主にシステムインテグレーション関連のプロジェクトに従事する中で、製品やサービスに依存せず、顧客視点からの提案・支援を行いたいという思いが強くなり、コンサルティング業界への転職を決意。転職後は、IT関連のプロジェクトを中心に、業務改革や戦略策定など支援の範囲を広げ、様々な業界のクライアント様の課題解決に取り組んでいる。現在は、業界最大手のクライアント様の伴走支援を行い、上層部の方々が抱える難易度の高い課題に対し、これまで培ってきた知見やスキルを活かし、さまざまな視点から価値ある解決策を提供している。

目次
なぜ日立は「戦略だけでは足りなかった」のか
ジョブ型雇用への転換──「人の流動性」を取り戻す
グローバル人材・外部人材の積極登用
ガバナンス改革──「チェックする取締役会」へ
文化変革の難しさ──制度だけでは変わらない
この分析にMBAの学びはどう活きるのか?


なぜ日立は「戦略だけでは足りなかった」のか

第2回で見た通り、日立製作所は事業ポートフォリオの大胆な転換とグローバルM&Aによって、戦略面では大きな方向転換を果たしました。

しかし、経営陣は早い段階で次の壁に直面します。「戦略は描けたが、組織がそのスピードについてこない」

これは、多くの日本企業が陥る典型的な課題です。

・戦略はグローバル水準
・しかし、意思決定・評価・人材配置は国内最適のまま

日立の場合、以下のような問題が顕在化していました。
・事業部ごとに最適化された縦割り組織
・年功序列・メンバーシップ型雇用による人材の硬直化
・海外子会社に対する本社の過剰関与
・失敗を許容しにくい評価文化

このままでは、どれだけ戦略を変えても「実行されない変革」 に終わってしまいます。
そこで日立は、最も難易度の高い領域──組織・人材・ガバナンス に踏み込みました。

ジョブ型雇用への転換──「人の流動性」を取り戻す

日立の人事改革で最も象徴的なのが、ジョブ型雇用の本格導入 です。

従来の課題
従来の日立では、
・新卒一括採用
・配属は会社主導
・評価は年次・在籍年数重視
という、典型的な日本型雇用が主流でした。

この仕組みは安定的ですが、
・専門性が育ちにくい
・グローバル人材と競争できない
・事業ポートフォリオ転換に人材が追いつかない
という限界がありました。

ジョブ型導入の狙い
日立が導入したジョブ型は、単なる制度変更ではありません。
・職務内容・責任・成果を明確化
・報酬を役割と市場価値に連動
・社内外から最適人材を配置
これにより、「どの事業に、どんな能力を持つ人材を、どれだけ投入するか」という 戦略的人材配置 が可能になりました。MBAで言えば、人材をコストではなく「戦略資源」として扱う発想 です。

グローバル人材・外部人材の積極登用

日立の変革を語る上で欠かせないのが、外部・非日本人材の登用 です。

経営層の多様化
・社外取締役の比率拡大
・海外出身役員の登用
・IT・デジタル分野の外部専門家をCxOに起用
これは形式的な多様性ではなく、意思決定の質を高めるための設計 でした。

海外子会社の権限移譲
かつての日立は、
・本社主導
・日本式の管理プロセスを海外にも適用
というスタイルでした。

現在は、
・現地CEOへの権限委譲
・事業単位での責任経営
・成果に基づく評価と報酬
へと大きく転換しています。これは、グローバル経営=中央集権ではないという重要な示唆を与えます。


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ガバナンス改革──「チェックする取締役会」へ

組織改革と並行して進められたのが、コーポレートガバナンスの刷新 です。

取締役会の役割変化
従来の取締役会は、
・業務執行の詳細確認
・内部調整の場
になりがちでした。

現在の日立では、
・社外取締役中心
・戦略・投資・リスクに集中
・執行と監督の明確な分離
が進んでいます。

これにより、
・大型M&Aの妥当性
・不採算事業の撤退判断
・資本配分の優先順位
といった重要テーマが、より健全に議論されるようになりました。MBAで学ぶエージェンシー理論・ガバナンス設計 の実践例です。

文化変革の難しさ──制度だけでは変わらないへ

もっとも難しかったのが、社員の行動・意識の変化 です。

見えてきた成果
・若手・専門人材の抜擢
・社内公募・異動の活性化
・デジタル人材の育成・評価

一方で、
・失敗を恐れる文化
・稟議・調整に時間がかかる体質
・部門最適の名残
は依然として残っています。日立自身も、「文化変革は5年、10年単位の取り組み」と認識しており、未完成であることを前提に進めている 点が現実的です。

この分析にMBAの学びはどう活きるのか?

日立の組織・人材改革は、MBAの核心と重なります。

MBAの論点 日立の実践
組織行動論 行動を変える評価・報酬設計
人材戦略 戦略と人材ポートフォリオの連動
リーダーシップ 多様な人材を束ねる統合力
ガバナンス 執行と監督の分離による質向上
変革マネジメント 抵抗を前提にした長期変革

特に重要なのは、戦略 → 組織 → 人材 → 行動という因果の流れを、机上ではなく実務でどう実装するか、という点です。

次回予告

最終回・第4回では、日立製作所の変革を総括します。

・なぜ日立は「復活企業」と言われるのか
・社会イノベーション事業の持続性
・他企業・個人にとっての普遍的教訓
・MBAの学びをどう実務に活かすか
巨大企業の変革は、決して他人事ではありません。「自分の組織ならどう設計するか」 という視点で読み解きます。次回もぜひご覧ください!

次の記事はこちら

【第4回】日立製作所の変革から学ぶ経営の本質

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