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【第2回】日立製作所の事業ポートフォリオ転換とグローバル戦略
目次
なぜ日立は「選択と集中」を迫られたのか
非中核事業からの撤退──「やめる決断」の積み重ね
注力領域の明確化──「社会イノベーション事業」への集中
グローバルM&A戦略──規模ではなく「能力」を買う
ポートフォリオ転換の成果──数字で見る変化
この分析にMBAの学びはどう活きるのか?
第1回で見た通り、日立製作所はかつて「何でもある総合電機メーカー」でした。
家電、半導体、IT、社会インフラ、金融、建設機械まで、事業領域は極めて広範でした。
しかし2000年代後半、このモデルは明確な限界を迎えます。
・グローバル競争の激化(韓国・中国メーカーの台頭)
・技術コモディティ化による利益率低下
・事業が多すぎることによる経営資源の分散
象徴的だったのが 2009年3月期の最終赤字7,873億円。日本製造業史上でも最大級の赤字です。
この経験を通じて、日立は痛烈な教訓を得ます。
「規模が大きいこと」や「事業が多いこと」は、もはや競争優位ではない。
ここから日立は、「何をやめ、何に集中するか」というポートフォリオの再設計に踏み出します。
日立の変革を理解する上で重要なのは、成長分野への投資以上に、不採算・非中核事業からの撤退です。
代表的な撤退・縮小事例
・テレビ事業の売却・縮小
・半導体メモリ事業の分離(ルネサス設立)
・日立金属・日立化成の売却
・白物家電の海外事業縮小
これらはいずれも、かつての「日立らしさ」を象徴する事業でした。しかし、収益性・競争力・将来性を冷静に評価し、手放す判断を下しました。
MBA的に言えば、これは 「感情を排した事業ポートフォリオ管理」です。
・過去の成功体験に引きずられないこの「やめる力」こそが、後の成長投資を可能にしました。
撤退と同時に、日立は注力分野を明確に定義しました。それが 「社会イノベーション事業」 です。これは単なるスローガンではありません。
中核となる3領域
1.IT(デジタル・データ)
2.OT(制御・運用技術)
3.プロダクト(社会インフラ・産業機器)
日立の強みは、これらを 一社で統合できる点 にあります。
・鉄道・電力・エネルギーなどの実運用データ(OT)この三位一体モデルは、単なるIT企業や製造業には真似しにくい構造です。
ここから生まれたのが、データ活用基盤 「Lumada」を中心としたソリューション型ビジネスです。
日立のグローバル展開は、単なる海外売上拡大ではありません。特徴は 「足りない能力をM&Aで補う」点にあります。
代表例:ABBパワーグリッド買収(2018年)
・買収額:約1兆円
・対象:送配電・電力制御分野の世界的プレイヤー
・目的:エネルギー×デジタルの強化
この買収により、日立は以下を一気に獲得しました。
・欧州・北米の顧客基盤重要なのは、「売上規模」よりも社会インフラ×デジタルという戦略との整合性 を重視した点です。MBAで学ぶケイパビリティベース戦略を、実践で体現した事例と言えます。
この戦略転換は、数字にも明確に表れています。
・海外売上比率:約50%超
・調整後営業利益率:10%前後まで改善
・IT・デジタル関連売上:全体の3割超
・ROIC重視の経営指標導入
かつての「薄利多売型メーカー」から、高付加価値・ソリューション企業 へと体質が変わりつつあります。
一方で、社会インフラ事業特有の
・プロジェクトリスク
・長期回収
・地政学・規制リスク
といった課題も依然として存在します。
日立の事例は、MBAで学ぶ主要フレームワークの宝庫です。
| MBAの論点 | 日立製作所の示唆 |
|---|---|
| 経営戦略論 | 事業ポートフォリオの再設計と選択と集中 |
| M&A戦略 | ケイパビリティ獲得型M&Aの実践 |
| ファイナンス | ROICを軸にした資本配分 |
| グローバル経営 | 本社主導から分散型マネジメントへの転換 |
| 変革マネジメント | 「やめる決断」を組織に浸透させる難しさ |
特に重要なのは、戦略とは「何をやるか」ではなく「何をやらないか」を決めることという、MBAの基本命題を日立が長期にわたり実行してきた点です。
次回第3回では、日立の組織・人材・ガバナンス改革に焦点を当てます。
・日本的製造業文化をどう変えたのか
・グローバル人材・女性・外部人材の登用
・ジョブ型雇用と評価制度の導入
・MBA的に見る「組織変革のリアルな難しさ」
戦略だけでは変わらない。組織と人をどう動かしたのかを深掘りします。次回もぜひご覧ください!
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